持続可能グローバルエネルギーシステム

気候変動より本質的な問題として、太陽エネルギーの数千万年にわたるストックである化石エネルギー資源は採掘を続ければ減耗(鉱床の品位が低下していく)します。これは採掘コストや採掘に投入されるエネルギーの増大を意味し、ある時点で、もはやエネルギー資源ではなくなります。そこで当研究室では、すべてのエネルギーを直接的であれ間接的であれ太陽エネルギーのフローの一部で賄うために必要なあらゆる可能性を考えます。具体的研究課題は、エネルギー転換の遷移課程、エネルギーの供給・需要構造の将来的な推移、低人口密度地域の自立分散型エネルギーシステム、再生可能エネルギーの水素を媒体とする貯蔵と長距離輸送などです。日本のように植生が豊かで人口密度、ひいては面積当たりエネルギー消費が大きな地域のエネルギー需要を全てローカルな再生可能エネルギーで賄うことは不可能で、グローバルな持続可能エネルギーシステムを考えることが必要不可欠となります。

リアルオプション分析とプロジェクト評価

従来のDCF-RORでは評価できない経営の柔軟性(戦略オプション)の価値を、金融のオプション理論を適用して評価します。これにより資源開発などのプロジェクトのより現実的な現在価値を求めることができ、DCF-RORによる過小評価や、楽観的思い込みによる過大評価を避け適正価格での応札が可能になります。この考え方を応用して、複数の相関する原資産を対象とするレインボーオプションや多段階の意思決定に用いられるコンパウンドオプションにより各時点における最適な意思決定を考察します。

ブロックチェーンによる金融イノベーション

ブロックチェーンイノベーション寄付講座やMbSC2030総括寄付講座(サウジセンター)のプロジェクトとして、ブロックチェーン関連の研究開発や、ブロックチェーンをコアテクノロジーとするベンチャーの起業支援を行っています。具体的な研究テーマは、仮想通貨(暗号資産)は通貨になりえるのかという根源的な問題から、NFT (Non-Fungible Token) の価格傾向分析や取引所における暗号資産価格の初期ボラティリティの抑制方法に関する研究まで多岐にわたります。

エネルギー・資源経済システム

エネルギーや資源価格の変動が経済に与える影響を評価し、石油や鉱物資源備蓄の経済効果や最適備蓄戦略などを考えます。また、石油をはじめとするエネルギー資源や金属鉱物資源は、短期的な価格変動に対する需要の変化(価格弾性値)は小さく、長期的な価格変動に対しては省エネや代替、さらには経済構造の転換などにより需要も大きく変動するといわれています。このようなエネルギー・資源の特性を考慮した長期的なエネルギーシナリオや需要予測モデルの検討を行います。